Tidbits stream 10 思考の整理学
「思考の整理学」の冒頭には、自力で飛び回れる「飛行機人間」と、他者の指示を待つ「グライダー人間」という対比が書かれています。グライダーと飛行機は、同じ空を飛ぶのもので、遠くから見ると区別が困難です。そして、人間には、グライダー能力と飛行機能力とがあるとしています。グライダーが音もなく優雅に滑空しているさまは、飛行機よりもむしろ美しいぐらいですが、自力で飛ぶことは出来ません。すなわち、受動的に知識を得るのがグライダーで、自分で物事を発明するのが飛行機という具合です。現在の学校教育は、教える側が積極的で親切すぎで、グライダー人間を生み出しがちです。そこで、自立した思考力を養うことの重要性が強調され、グライダーを飛行機に転換させる知恵の重要性が提唱されます。近年、先進的な科学技術、理科・数学教育を通じて、生徒の科学的な探究能力等を培い、将来の社会を牽引する人材を育成するための取組み、「スーパー・サイエンス・ハイスクール(SSH)」が始まっています。これらの取り組みで、今からの若者達は、まさに飛行機人間として大きく羽ばたくこととなるでしょう。
また、「思考の整理学」では、歴史上もっとも顕著な出来事として”産業革命”をあげ、工場の主役が人間から機械に移ったこと、機械に仕事を奪われた人間が事務作業に移動したこと、そしてコンピューターの出現で事務作業もが奪われるであろうと、40年前に予測しています。40年経った今ではAIが出現し、先日行われた共通テストでは満点、東大の2次試験も通過できるほどになり、もはやグライダー人間をも駆逐する勢いです。これは、いわゆる”知識”というものを身に着ける必要性が低くなったとも言えますが、”思考力”は十分な”知識”の上に成り立つものですから、その重要性に変わりはありません。
当ブログの「Tidbits」とは 「豆知識、役立つ情報」で、「stream」は「小川」です。当ブログ「Tidbits stream」では、単なる整形外科的知識を提供するのではなく、整形外科に関連する身体の基本的な考え方を解説することで、読者が自分の身体について考える”思考力”を養うものです。「Tidbits stream」を理解することで、ネットに溢れる情報に惑わされず、また検査結果や医師の指示に対し受け身になることなく、自分の経験と知識に照らし合わせ、自分なりの解釈で自分の身体と対峙出来るでしょう。
孔子が「孔子」→「弟子」という、一方通行コミュニケーションであったのに対し、ソクラテスのコミュニケーションスタイルはDebate形式で、年齢や立場は関係なく、双方が議論することで結論を導きます。当整形外科の診療は、ソクラテスのDebate形式を目指し、当ブログを基礎知識として、疑問、意見、質問があれば、時間が許す限り対話で問題を解決していきます。
次回からの「Tidbits stream」では、いよいよ整形外科疾患の各論について解説します。
