メニュー

Tidbits stream 18 側弯症(成長期を除く)

[2026.03.02]

 近年、腰痛予防に対して、「Motor Control(運動制御:運動を調整する能力)」の概念に基づいた “ピラティス” の有効性が注目されています。“ピラティス” のコンセプトは、「Joint by Joint Theory」に基づいています。これは、人体の関節は「安定性が重要視される関節:スタビリティ関節」と「可動性が重要視される関節:モビリティ関節」に分けられ、それぞれが交互に並んでいるという理論です(図1)。

すなわち、可動性が低くなりがちな胸椎や股関節はモビリティを上げ、過可動になりがちな頸椎や腰椎はスタビリティを向上させることで、脊椎全体への力学的負荷を低減・分散させます。例えば、車のボディ剛性はスタビリティで、車輪とサスペンションがモビリティです。それぞれが適切な性能を保つことで、快適なドライブが可能になります(図2)。

 この考えに基づけば、脊椎が捻じり曲がる側弯では、「Joint by Joint Theory」がうまく作動せず、いろいろな不具合が生じます。

 例えば、でんでん太鼓の持ち手を高速で往復反転させると、紐に結ばれた玉が左右対称に振り回されます(図3A)。しかし持ち手が捻じり曲がっていると、紐に結ばれた玉は不規則な動きをし、うまく太鼓にあたることはありません(図3B)。すなわち、正常な脊椎であれば、体幹につく左右の上下肢は規則正しく動きますが、側弯の場合、体幹の捻じり曲がり時に、紐や玉に相当する上下肢は不規則に動き不具合が発生します。

 脊椎を支える体幹筋は、本来であれば左右対称ですが(図4A)、側弯(図4B)の場合、凸側で伸張されます。側弯状態では筋緊張がアンバランスとなり、筋出力に影響が出ます。

これは、肘関節を伸ばした状態や曲げすぎた状態で筋出力は低下し、90度で筋出力が最大となることから説明可能です(図5)。これが、側弯症の方に、痛みやしびれ感(腰神経走行に沿わない)が凸側に生じやすい理由です。

 ネットでは側弯症に効く運動療法や禁止行動などが記載されていますが、側弯の程度、タイプ、年齢、体力など様々な要素があるので、対処法は各個人さまざまです。よって、trial and error(試行錯誤)で自分にとって禁忌な動作を探していきましょう。一般的に良いとされるヨガやピラティスも、痛みを誘発させないものを選択してください。痛み止めを用いず、痛みが出やすい状況で行うと、何が自分に合って合わないかがよく分かります。

 近年、腰痛に対してピラティスを積極的に導入している、徳島大学 西良浩一教授のある動画の発言に共感を覚えました。

「整形外科の基本は運動療法であり、手術ではない」

「メスだけでは限界があり、名医とは運動療法つまり保存療法が上手でないといけない」

「例え手術をしたとしても、そのあとに必要となるのは運動療法である」

「手術だけして “はい、終わり” という先生よりも、保存方法も上手な先生のほうが手術成績は良い」

「ヨガやピラティスは、治すというよりも、再発しない体に肉体改造するもの。痛みがあるときはしっかりと手術や薬物治療を行い、再発防止目的でヨガやピラティスを行ってほしい」

 車で例えると、筋トレは馬力をあげる、ストレッチはサスペンションを良くして乗り心地をよくする、ピラティスは運転技術を磨くことです。運転する人がしっかりしていないと事故に繋がるように、身体を上手に使う方法を学ぶにはピラティスが効果的なようです。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME