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Tidbits stream 8「An apple a day keeps the doctor away.」

[2026.01.09]

 「An apple a day keeps the doctor away.」という英語の諺があります。この「一日一個のリンゴで医者いらず」を検証するために、各国で研究がされました。

 イギリスのチームは、リンゴに血中コレステロール値を下げる効果があることを突き止め、「りんごは現代的な薬と同等の効果を持ち、副作用も少ない」と結論付けました。アメリカのチームは、リンゴを食べている人のほうが薬の処方が少ないことを、フィンランドやオランダのチームは、ガンや脳卒中、気管支喘息などのリスクが低くなることを示しました。

 すなわち、「一日一個のリンゴで、“医者いらず”というよりも、“薬いらず”」という結論です。

 「医者にかかる」ことには、“診断”、“治療”、“経過フォロー”が含まれ、“治療”には「薬」、「手術」、「説明」、「アドバイス」という手段があります。しかし、現在の医療は、「薬」や「手術」に偏り、「説明」や「アドバイス」は不十分な状況です。ですから、「病院・医者に行く」=「薬をもらう」というイメージとなり、「リンゴで薬いらず」が「リンゴで医者いらず」という考えに落ち着きます。

 腰痛であっても膝関節痛であっても、薬はあくまで治療の一手段で、まずは症状が出た状況を把握し、症状の説明はもちろん、症状が軽減するようなアドバイス、再発しにくい生活のアドバイス、その次に薬の処方、最後に手術を検討すべきでしょう。

 私がアメリカ留学していた時、子供がショッピングカートから転落し頭部を打撲しました。救急病院でCT撮影すると小さなひびが見つかり、救急医師から数日の安静と脳外科専門医受診を指示されました。脳外科専門医受診までの数日間は、とても不安な日々を過ごしました。脳外科専門医に丁寧な診察を受け、“もう大丈夫”と言われました。しかし数日後に飛行機でイエローストーンに行く予定でしたから、「飛行機に乗ってイエローストーンに行っても大丈夫か?」と聞きました。医師は「優秀な脳外科医と一緒に行くなら大丈夫」と、自分を指差しニコニコしていました。その言葉と仕草に、我々夫婦はとても安堵し、「医師の一言はどんな薬よりも本人と家人を安心させる」ことに気づかされました。

 患者さんは常に不安感を持って病院を受診します。医療従事者は、その不安に対して薬を出して終わりではなく、しっかり相手を見て説明し、コミュニケーションをとることがとても重要と思います。

 私も常に「リンゴの諺」と「脳外科医の一言」を頭に入れて、日々診療を行っています。

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